トライ&エラー 絶飲食からの解放。
大学病院に転院後も、全身状態が悪く、小腸炎に対する検査や治療を行えずにいました。
そうした経過の中で、ようやく消化器内科より下部内視鏡検査の許可が下りたのです。
母曰く、胃カメラよりは楽とのことですが、異物が体内に入るので苦痛は相当です。
検査の結果、絨毛がズルッと剥けた状態からは改善していたようでした。
そしてトライ&エラーで水を飲むことから始めてみることになりました。
絶飲食になって1か月程度、念願の日が訪れました。
今までは、喉が渇いてもうがいをしたりアイス綿棒(凍らせた冷たい綿棒)で
口の中をぬぐったり、口腔内ジェルを使って口の渇きをしのいできました。
1か月も物を口にできない、さらには水さえも飲めないなんて、
想像もできないしんどさがあったと思います。
炎症性腸疾患という疾患の特性上、治療として行われる”絶飲食”。
とても辛い治療のひとつだと思います。
生まれてから飲まず食わずの日なんてそうないのに、それが数か月単位で行われるのです。
母は久しぶりに口からものを入れられることにたいそう喜んでいました。
そして、経口での飲水を開始後も状態の悪化はなかったので、約1か月のICU生活を経て、ついに一般病棟へ戻ることになりました。
ICU退室のお祝いは母が大好きなケンタッキーチキン!(笑)
面会に行く途中で手に入れて、カバンにしのばせて病院へ。
隠しても隠し切れないチキンのよい香りが病室に広がります。
鼻で食べることができるんじゃないかというくらい、鼻の近くにチキンを配置して、
香りを堪能していました。
そこに、医師登場!
「食べてないよ!食べてない、嗅いでるだけだから」と焦る母。
先生も今度はチキンですかと笑ってくれました。
体調にも明らかな悪化はなかったので、飲水からさらにステップアップして、
内服薬やGFO(グルタミン・ファイバー・オリゴ糖の3種の栄養素を配合した粉末飲料)が開始になりました。
GFOは食物繊維を摂りたいときや腸の栄養を摂りたいとき、長い間腸を使っていない場合に、腸を動かしていく目的に使われたりする粉末の飲み物です。
粉末を水やぬるま湯に溶かして飲んでいきます。
元々はレモン水のような味だったのですが、最近リニューアルしてピーチティー風味になったとのことです。
飲む人にとって飲みやすくなっているといいなと思います。
順調に食上げしている最中、GFOから流動食にステップアップした直後に感染の疑いが浮上し、瞬く間に絶飲食に戻されてしまいました。
本当に束の間の楽しみでした。
「トライ&エラー」
トライしないとわからないことも多いのが難病なのだと実感。
先生方も未だに診断がつかないために、慎重になっていました。
エラーが起きてもまた元の場所に立ち戻って、スタートを切る。
そうやって闘っていく日々が幕を開けました。
今回はここまでです。
次回は一般病棟へ移ってからの日常をお伝えしていきたいと思います。
では。