母、ICUダイアリ―をはじめる。
母の病状は良くはありませんでしたが、全体的な経過としては改善していました。
全身のむくみも良くなり、自分でも体を動かせるように。
ベッド上での腕や足の関節の訓練リハビリから始まり、
ベッドから足を出して腰掛ける姿勢(端座位)を取ったり、
車椅子に座るリハビリまで進めていきました。
看護師さんがICUダイアリ―の提案をしてくださり、日記を書き始めた母。
面会に行けなくても、ダイアリ―をみればここ数日の出来事を知ることができました。
本人としても、率直な気持ちに始まり体重の推移をグラフにしてもらったり、
リハビリ内容を記録したりと、体調の変化や改善を実感していました。
「ICUダイアリ―」というのは、集中治療領域の医療スタッフやICU入室経験がある方、そのご家族であったら、一度は聞いたことがあるかもしれません。
ICUには生命の危機にある方や全身状態がよくない方が多く入院しています。
薬の影響で眠らされることもあり、記憶が抜けたり曖昧になることがあります。
また、全身状態や環境要因によって、せん妄と呼ばれる一時的な意識障害が起きることもあります。
そのような経験は退院後も身体的・精神的に様々な影響を与えるとされています。
ICU入室中の出来事を自分で記録したり、医療者からのフィードバックを行うことで、
曖昧だった妄想的であったり、ネガティブな記憶のゆがみを適切に認知することにつながり、退院後の生活の質も改善するといわれています。
家族側としても、入院中の様子を知ることできる日記になります。
その頃の母は、駄菓子ブームの真っただ中。
よっちゃんイカやうまい棒、麩菓子、チキンラーメンなどの香りを楽しんでいました。
「こうやって鼻近づけていたら食べちゃいそう。ばれないよね」なんて冗談を言う余裕もでてきていました。
しかし、大量のアルブミンの投与を行っても、状態は改善しませんでした。
そこで「消化管蛋白漏出シンチグラフィ」という検査を行うことになりました。
”シンチグラフィ”とは、放射性元素を用いる核医学検査の一つです。
対象の臓器に特異的に反応する薬剤を体内に注入し、画像診断を用いて病巣の場所を特定することができます。
蛋白漏出シンチグラフィでは、蛋白が漏れているか否かや漏れている部位を特定できます。薬剤を用いたCT検査のようなもので、消化管内視鏡検査に比べると苦痛が少ないです。
薬剤投与後に、1時間・6時間・24時間後に撮影を行い、診断していきます。
結果、小腸からの蛋白漏出はあり、回腸(小腸の終わりの方、大腸側)からの漏れが大きかったようです。
この検査結果を踏まえて、下部消化管内視鏡検査を行うことに。
今回はここまでです。
では。