倫理委員会の承認と新たな治療。
今回は少し難しい話なのですが、母の新たな治療が始まるにあたり、
適応外の治療がどのように承認されて、実際に治療が開始されるに至ったか
についてお話していきたいと思います。
前回お伝えした免疫抑制剤や生物学的製剤には適応の疾患や病態があります。
これらの薬剤が適応となるのは主に、自己免疫性疾患や悪性腫瘍、移植後などです。
母は明確な診断がなされていない上に、
診断されている難病も適応疾患ではなかったため、
これらの薬剤を使用するために、院内の”倫理委員会”にかけられることになりました。
適応外の疾患に薬剤を使用するということは、副作用がどのように出るか把握できていなかったり、治療の有効性が確立されていないといったデメリットがあります。
反対に、症例数は少なくても論文の発表などから、
有効性が認められている場合もあり、それが奏功すればメリットとなりえます。
倫理委員会では治療の適応や妥当性に加え、
治療に伴うメリットやデメリットが検討されました。
メリットとデメリットのある話ですから、
リスクについて患者・家族に対してきちんと説明されました。
倫理委員会なんて通さなくていいから、医師が必要と思った治療をやってくれればいいと思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、
適応外でも治療を受けられる可能性-いい面-に目を向けるだけでなく、
リスクについてもきちんと話し合って、病院側、患者側が双方に納得して安全な治療を決めていくことが大切だと感じました。
これまでの長い間治療法がなくて絶望にいたとしても、その決断はこれまで繋いできた命や生活を左右するものだと思っています。
視野が狭い中でも、与えられた選択肢についてよく考え、今と未来を決断していく。
母は「やれることがあるならやる。今より良くなる方法があるならやりたい」と、
治療を希望し、倫理委員会の同意書にサインしました。
主治医の先生方は、他の疾患ではよく使われるこれらの薬の使用に慣れていたこともあり、安心してサインすることができたように思います。
1週間くらいで倫理委員会の承認が得られ、治療が開始されることになりました。
母の病態に対しては初の試みであり、状態を考慮して投与量のスケジュールを決めて慎重に治療を進めていくことになりました。
この頃は病状も大きく変わらないことに加えて、コロナ禍で面会できないこともあり、
主治医とも全然話す機会がなく、治療の経過は母からのライン連絡で把握するようになっていきました。
この後、面会のこととか色々と書き続けたら3,000字を超えてしまったので、
今回はここまでで切り上げようと思います。
倫理委員会という少し硬い内容になってしまいましたが、難病患者さんや治療法の限られた状態にいる方にとっては、ご経験されている方もいらっしゃるのかもしれませんね。
私自身、看護師でありながらそのような場面に居合わせることがはなかったので、
初めての経験がまた1つ増えることとなりました。
次回はコロナ禍の面会事情について詳しくお話していきたいと思います。
今回もお読みいただいた方、本当にありがとうございます。
拙い文章で、備忘録的な記載ですが、お読みいただけて嬉しく思っています。
では。